------余白さんの由来は？

余白：「日常の中に余白を持っておきたいといつも思っているのと、単純に余白という言葉が好きだからです。余白という名前では、5、6年前からInstagramを更新しています。当初は知り合いに見つかりたくないからつけた名前でした。個人的な感情の吐き出し口として更新していました。なんとなく続けて行くうちに、言葉に共感してくださるフォロワーさんが増えてきて、更新頻度も上がり、結局今では新しく知り合った方々へは名刺代わりになるので普通に教えています。」

------余白さんの文面を見ていると、話口調で『余白っぽさ』のようなものを感じます。

余白：「私らしさが出るようには意識はしています。ただ、息抜きで作ったアカウントという趣旨は変わっていないので、今でも気が向いた時にしか更新はしません。書きたくなったら書くし、そうじゃなければ書かない。その方が、納得感のある文章が書ける気がします。」

------文章に独特な感性があるように感じるのですが、そのルーツはあるのでしょうか？

余白：「母親の影響はあると思います。私が小さい頃から、母親は近隣の小・中学校で本の読み聞かせをしていました。司書の資格も持っています。なので、もちろん家にはたくさんの本があり、私自身も本を読むということは生活の一部でした。そんな母親に育てられたにも関わらず、好みは真逆なのが不思議な点です。母親は絵本や児童文学、ファンタジーやハッピーエンドのような作品が好きなのですが、私は基本的には純文学が好きで、出来るだけ現実的で暗くて救いのないような物語が好きです。」

-------余白さんの作品も、現実的なものが多いように感じます。

余白：「そうですね。その時に感じた感情を言葉にすることが好きです。この間、某有名人が自殺をしたとき、私は出張先の焼鳥屋さんでそのニュースを知りました。物凄い衝撃を受け、とても動揺していました。それでも当たり前のようにやってくる翌日。何もなかったかのようにクライアントと会話をするけれど、昨日某有名人が亡くなった事実は消えなくて。この感情と脳と行動がリンクしていない感じに強烈な違和感を覚えました。その違和感を文章にしたいと思い、書いた作品がこちらです。実際にたくさんの方から共感の声をいただきました。」

リンク

◆エッセイサイト：かがみよかがみ
「彼は死んだ。こんな辛いのに、夢ならいいのに、お腹はすくし喉も乾く」
https://mirror.asahi.com/article/15174884

------余白さんが好きな著者や作品はありますか？

余白：「たくさんありますが、例えば金原ひとみさんの『アッシュベイビー』や、加島祥造さんの『求めない』が好きです。特に『アッシュベイビー』の救われなさが好きです。内容的には、生々しい表現が多く、とても人間くさい。この小説には高校生の頃に出会ったのですが、本当に百回以上読んでいます。頭が痛くなったらイブを飲むように、疲弊したり嫌なことがあったらこの本を読む。私にとってはお薬代わりです。」

------薬代わりって素敵な言葉ですね。余白さんは、お話の節々に言葉遊びのような表現が出てきてとても居心地よく感じます。

Culture vol.3 [余白] interview